全米不動産市場とハワイ不動産市場、2018年2月のレポートから
ハワイ不動産市場は、中古住宅を指標としていますが、全米では、日本と同様に新築、または、着工件数を指標としており、The Commerce Department(商務省)が発表しています。
2018年2月は、アパートなどの集合住宅の着工件数が28%減少し、戸建て住宅のそれは、2.9%増加しています。集合住宅は賃貸であることが多く、所有者は、分譲を行う建設業者の場合も、個人投資家が所有するアパートの場合もあるでしょう。大きな変化がない限り、この数字の多少は、意味を持たないと思います。変わって、一戸建ては、自宅の割合が高いので、もし、この数字が順調に伸びていれば、アメリカ国民が豊かになりつつあり、アメリカ経済も、順調だという証拠になりますし、一戸建ての指標は、いつでも増加傾向であるべきでしょう。2018年2月は、わずかに伸びています。
商務省は、アメリカの現在の景気がいいという前提で、説明しています。政府が「景気がいい」と断定しているのですが、ハワイや全米が好景気であるとは言えません。さりとて悪いという感じも無く、ただ景気が上向いているという実感があり、悪いニュースが無いときには、景気は上向いていると納得できます。
その景気のいい中で、特に過去2年間は、一戸建ての住宅需要が高まっており、着工件数が増えても、その需要に追いついていないと指摘しています。全米の中古不動産市場では、売りに出された一戸建ては、5%ほど減少したということですので、既存の家を手放す人は、少なくなる傾向にあり、売り物件の在庫も多くないと言えます。家を購入しようとする意欲は、堅実な雇用があるからで、雇用の安定こそが、不動産市場の堅調を生み、不動産市場の堅調が、経済を上向かせるとも言えるでしょう。また、株式から見ますと、2017年には、好調な業績の住宅建設会社が多く、高値を付けているとのことです。
マイナスな面があるとすれば、それは、金利の上昇です。景気がいいときには、金利は上昇するものですので、現在の金利上昇も仕方がありません。そして、金利の上昇が、不動産購入意欲をそぐものですが、現時点では、まだそこまではいっていないということを考えると、金利はこれからも上昇し続けるでしょう。
もうひとつのマイナス面は、着工件数が多くなれば、建材の価格は上昇します。物価によっても上昇しますが、賃金上昇が、これに追いついていないという指摘があります。雇用安定だけでなはく、賃金上昇の程度も住宅市場に影響を与えます。
最後に全米の住宅ローンの金利ですが、アメリカの銀行からローンを購入するという公的機関のフレディーマック Freddie Macによれば、30年固定金利抵当貸付の平均利率は、2017年の4.30%から、2018年は、4.44%に上昇しています。今後もこの上昇は続くということになります。
SANADAインタ-ナショナル不動産売買
プラスセブン不動産
代表取締役社長 : 真田俊彦